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第300話

静かに、けれど確実に時は過ぎて俺と涼真は四十歳を越えた。 もちろん真咲だっていつまでも子供のままではいられない。 「おめでとう!真咲!」 「もう二十歳なんだな。おめでとう!」 二十回目の真咲の誕生日の夜、ささやかながら涼真と彼の誕生日を祝った。 「もう、今日も会社で働いて疲れてるでしょ…?でも…ありがとう」 俺達に気を使いながらも、その顔は嬉しそうだ。 本日は週の半ば水曜日。 料理を作ってお祝いするのは土曜日って決めてたけど…でも、当日に祝いたいじゃないか! それは涼真も一緒で、帰りがてら二人で寿司屋と洋菓子屋に寄ってきたんだ。 テーブルの上にはイチゴのショートケーキと寿司とサラダ。 …組み合わせが微妙だよな…。 「僕の好きな物ばっかり!どれから食べよう!」 マグロが好きな真咲の為に赤身、中トロ、トロの三種類を多めに握ってもらった。 「鉄火巻から食〜べよ!」 あれ?そこから? 「じゃあ俺はトロから!」 涼真が光り輝くピンク色の握りに醤油を付けてパクリ。 「ん、ま〜い!ほら真咲、これすっごく美味いぞ!」 「次に食べる!どれどれ…ん!んま!」 「たくさん食べな。でないと俺と郁弥が食っちまうぞ」 自分が先に食べて遠慮しがちな真咲に勧める…涼真の、父親の優しさ。 その証拠に涼真は片肘を付いて真咲が寿司を頬張る姿を笑って見ている。 「郁弥、写真集ばっか撮ってないで郁弥も食べよ?」 「うん、あと一枚撮ってからな!」 二人の笑顔が嬉しくて…俺は何回もシャッターを切った。

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