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第307話
浴槽に体を沈めて大きく息を吐き脱力すると心も体も何となくリラックスしてくるような気がした。
ああそうだ、今日からは涼真と二人きりなんだ。
夢にまで見たのだけれど…でもこんな風になるなんてあの頃は想像も出来なかった。
風呂に入りながらそんな事を考え、湯船からあがる。
カゴからシャツを掴んで取り出すとやや違和感…。
「あれ?これ俺のじゃない…」
胸に青いワンポイント…真咲のだ。
「時々は帰ってくるだろうし、部屋に置いといてやるか」
下だけ穿いてバスタオルを肩に掛けて、かつての真咲の部屋に入った。
主が出ていった部屋はガランとしていて広く見える。
必要ないからと持ち出されなかった勉強机に畳んだシャツを置いた。
「何もねぇな」
そう呟いて何気なく引き出しに手を掛けた。
音もなく静かに開けても何も無い…
ん?
何かある。
それは…鉛筆書きの文字が並んだ小さなメモ用紙。
「引越しの時に落ちたんだな」
持ち上げて目で文字を辿るとそれは真咲からのメッセージだった。
「涼真…!これ…!」
「郁弥風邪ひくから何か着ろよ」
「真咲から…!」
メモをヒラヒラさせてリビングに飛び込むと涼真は読んでいた新聞からこちらに顔を向け、そして大事そうに俺からそのメモを受け取り読み上げた。
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