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第308話
「『 父さん、とと 、今まで育ててくれてありがとう。僕は家をでるけど父さんもととの事もずっと大好き!時々帰るから寂しいって泣かないで、二人仲良しのままでいてね!真咲』だってさ。当たってるな、さすが俺の息子」
ニヤリと涼真が片側の口角を上げて笑う。
お前そんないやらしいキャラだった?
ってかオレが泣くのを見透かす真咲、こえーよ!
「わ…、分かったから涼真もさっさと風呂に入れよ」
俺はそれだけ言ってそそくさと部屋を出た。
後に残された涼真がメモ裏を読んでいた事も知らずに。
「まだいじけてんの?」
「…っさい」
マットが緩く沈み涼真が滑るようにベッドに入ってきたが、俺は何となくカッコ悪くてベッドの端に丸くなって布団を被っていた。
「子供に言い当てられたくらい、どって事ないだろ?」
…あるわ!
「ね、こっち向いて。郁弥」
囁くように言われて、俺は涼真の方に寝返った。
「だって…真咲に俺の行動バレてて…ダサい…」
…すぐには目を合わせられずに、俺は俯いて涼真の胸当たりに視線をやった。
「そんな所も好きだよ」
「…え?」
「真咲が出ていって、寂しいって素直に泣いちゃうトコ。俺は…泣けない…。だから郁弥が泣いてくれたから…一緒に泣けたんだ」
…ありがとう…
涼真の声が俺を溶かす。
「よ…よし!今日から第二の人生なんだからさ、もっと仲良くしようぜ。な、涼真」
「もちろんだよ。よろしく、郁弥」
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