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第319話【R18】
「涼真……」
俺は胸がいっぱいになって…堪らずに唇を噛んだ。
涼真の口から出た俺を殺す文句。
「な…泣くなよ…」
「だって…」
遺された者の悲しみを一度経験している涼真。
強くて、…優しい…俺の好きな人。
「ほら、…郁弥…、一緒に…いこ?」
止まっていた身体を再び揺すり、妖しく恥じらって高みへと誘う。
「うん…いこう…」
動きを妨げないように涼真の腰を掴んで、タイミングを合わせた。
「あ…そこ…!い…気持ちい…!あッ!」
「ん…俺も、凄く…い…」
二人分の汗を飛び散らし、肉体だけでなく魂も一つに合わせるように…
何度も求めて…互いの名前を呼んで…
何度目かの迸りを解放して、涼真の意識が途切れた。
胸に抱き抱えたその人はさっきまでの妖艶さをどこかに置きやって無防備な顔を俺に晒す。
興奮して血流が良かった顔色が少し戻り、目の下にうっすらと陰を作っていた。
「無理させちゃったな…」
そっとベッドに寝かせて まだ濃い色をした唇を指で撫でた。
唇も、目の下に見える陰をも愛しい。
俺…涼真の事が好き過ぎる…
自覚は痛いくらいにあるからタチが悪い。
“ 死ぬまで一緒に …”
それは…死が俺たちを分かつまで… 俺といることを望んでくれている事…
重い言葉の鎖が嬉しくて、涼真の隣に身体を横たえて、いつまでも静かに寝息をたてる愛しい人の横顔を眺めた。
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