13 / 40
第13話
明吏side
朝10時。待ち合わせの最寄駅。早く着いて待っていると約束の時間の10分前には揃うことになった。早いなぁと、思うけれど、僕も30分くらい前についてたから何もいえないな。
「あれ?待った?ごめんね」
「んん、早く着き過ぎたの」
「いく?」
「んー、ちょっと早い?」
「いや、大丈夫じゃない?ゆっくり歩こ?」
ゆっくり歩きはじめて、着く頃にはちょうど、いいくらいの時間になってた。チケットを買って、中に入る。
好くんは結構飽き性だから、ちゃんと自分に合わせて順路が無いような自由に見て回れるところを選んでいたみたい。パンフレットを見て、どこから見ようかと思う。決めたりするのは苦手だ。
「僕、ここ見たい」
「なら、そこからにしようか」
「うん」
初めに見たのはイルカ。水槽だと狭いだろうと思うけれど、元気に泳いでて可愛い。ぼんやりと眺めていてふと横を見れば、好くんがいなくなってて…。
焦って見渡したらひょこっと戻ってきた。どうやら隣の水槽にいるアザラシを見てたみたい…
「イルカ、可愛いね!」
「あ、うん。急に消えるからびっくりした…」
「あっ…。ごめんね」
謝っているけど、そんなに反省して無さそう。次、逸れそうになったら手を繋いだほうがいいかな。人が少ないからまだ探せるけど、探すのは苦手…。特に人を探すのは…
「イルカはもういいの?」
「メイメイがいいなら次行こ」
「うん。次行こうか」
次に見に行ったのはペンギン。ペンギンってなんか突かれそうで怖い。少し離れたところで見ていたら、それに気づいた好くんに手を掴まれて、ペンギンの水槽に近づく事に…
「わっ、まっ……怖ぃ…」
「ちょっ、あぶなっ…とっと……。急に抱きつくと危ないよ?」
「いや、今のは好くんが…」
二人して縺れて倒れそうになった…。踏みとどまれたけど、これはこれで抱き合ってるようで恥ずかしい…。
人目は少ないと言っても、見られているわけで、早々にペンギンの水槽を後にした。
「つ、つぎ…行こっ!」
「う、うんっ!そうだねっ」
パタパタと少し小走りに去る。次はどこ見ようか…。そう思って邪魔にならないようなところまで移動してパンフレットを開いた。
ともだちにシェアしよう!