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第14話
明吏side
パンフレットを見ながら隅の方に立っていると、横から好くんがパンフレットを覗き込んでくる。次に行きたいところを探してるのかな…
あ、金魚いるんだ。見たいなぁ…
「次、どこ行きたい?」
「え〜っと…、好くんは何処がいい?」
「メイメイの好きなところでいいよ?」
「……ん〜っと、…何処がいい、かな」
自分の意見を言うは苦手…。行きたいけれど、好くんが行きたいところを尊重したい。
悩んでしまって、パンフレットを見ていたら、僕の視線を読んだのか、金魚見に行こうと誘ってくれた。楽しみだなぁ…
「ここからだと、二階に上がるのかな」
「んー、そうみたいだね」
「階段は?」
「あっ、あれじゃない?」
「ナイスだね」
階段を登り金魚の水槽。小さな可愛い金魚達がたくさん泳いでいて…。癒される…。餌の時間なのか、水面近くを泳いでいる。
「昔、金魚飼ってたんだ…」
「そうなの?」
「うん。妹が…、とても、好きだっただ……」
「…そっか。今度、夏祭りとかに行かない?」
好きだった…。過去形になっているのは意図的か無意識か…。どちらにしても、深く聞かれたく無いのだろう。少し寂しそうな横顔を見て、何も聞けなくなってしまったのだ…。
「夏祭りか、いいねっ。…楽しそう」
「うん。僕、記憶に残るのは初めてだと思う」
「……そっか。それなら楽しまないとだね」
幼い頃に行ったことがあるけれど、記憶には残ってない。だから今度行くときは、ちゃんと記憶に残るように、たくさん写真撮らないと…
そんなことを思いながら見ていると、飽きてきたのか、ソワソワしてる。
「次行こっか」
「うん。次はスナメリがいいな」
「そうすると…、この先かな?」
「早く行こう♪」
スナメリの水槽の前にいくと、思ったよりも数がいて…。楽しそうに泳いでた。こっちは、さっき見たイルカとは違って、個々に楽しそうな感じ…。それが少し寂しそうな……。
気のせいかな…。ぼんやりと眺めていると、袖を、くいっくいっと引っ張られる。
「好くん、どうし……。君、迷子?」
「…?…メイメイ、どうしたの?」
「この子迷子みたい」
「あー、迷子センターまで連れて行ってあげようか」
僕の袖を引っ張っていたのは、3歳くらいの男の子…。どうやら親と逸れてしまったみたいだ
このまま、この子を放置するわけにも行かないので、好くんと迷子センターまで届ける事に…
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