14 / 40

第14話

明吏side パンフレットを見ながら隅の方に立っていると、横から好くんがパンフレットを覗き込んでくる。次に行きたいところを探してるのかな… あ、金魚いるんだ。見たいなぁ… 「次、どこ行きたい?」 「え〜っと…、好くんは何処がいい?」 「メイメイの好きなところでいいよ?」 「……ん〜っと、…何処がいい、かな」 自分の意見を言うは苦手…。行きたいけれど、好くんが行きたいところを尊重したい。 悩んでしまって、パンフレットを見ていたら、僕の視線を読んだのか、金魚見に行こうと誘ってくれた。楽しみだなぁ… 「ここからだと、二階に上がるのかな」 「んー、そうみたいだね」 「階段は?」 「あっ、あれじゃない?」 「ナイスだね」 階段を登り金魚の水槽。小さな可愛い金魚達がたくさん泳いでいて…。癒される…。餌の時間なのか、水面近くを泳いでいる。 「昔、金魚飼ってたんだ…」 「そうなの?」 「うん。妹が…、とても、好きだっただ……」 「…そっか。今度、夏祭りとかに行かない?」 好きだった…。過去形になっているのは意図的か無意識か…。どちらにしても、深く聞かれたく無いのだろう。少し寂しそうな横顔を見て、何も聞けなくなってしまったのだ…。 「夏祭りか、いいねっ。…楽しそう」 「うん。僕、記憶に残るのは初めてだと思う」 「……そっか。それなら楽しまないとだね」 幼い頃に行ったことがあるけれど、記憶には残ってない。だから今度行くときは、ちゃんと記憶に残るように、たくさん写真撮らないと… そんなことを思いながら見ていると、飽きてきたのか、ソワソワしてる。 「次行こっか」 「うん。次はスナメリがいいな」 「そうすると…、この先かな?」 「早く行こう♪」 スナメリの水槽の前にいくと、思ったよりも数がいて…。楽しそうに泳いでた。こっちは、さっき見たイルカとは違って、個々に楽しそうな感じ…。それが少し寂しそうな……。 気のせいかな…。ぼんやりと眺めていると、袖を、くいっくいっと引っ張られる。 「好くん、どうし……。君、迷子?」 「…?…メイメイ、どうしたの?」 「この子迷子みたい」 「あー、迷子センターまで連れて行ってあげようか」 僕の袖を引っ張っていたのは、3歳くらいの男の子…。どうやら親と逸れてしまったみたいだ このまま、この子を放置するわけにも行かないので、好くんと迷子センターまで届ける事に…

ともだちにシェアしよう!