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第20話
明吏side
ハッと気が付いて目を開けると、朝だった。
朝ごはんのいい香りがする。お味噌汁かな…。父さんこの時間だと仕事遅れ…、あれ、そうだ僕、好くんの家に泊まったんだった。
「あ、起きた?おはよ」
「お、はよ……。寝てた。ごめん」
「ん?ああ、いいよ。よく眠れた?」
「うんっ!ぐっすりだった!」
「あはっ、だろうね。気持ちよさそうに寝てたから起こすのもなぁって思ったもん」
今日は二限から授業。一応、遅れることはないけど、好くんは一限からだと言っていたし一緒に家を出る。寝癖がついてしまってて、寝癖のついた髪は好くんが綺麗に直してくれた。
手慣れてる気がする。誰かにやってあげてたのかな…。好くんモテるからなぁ。
「器用だね。恋人とかにしてあげてたの?」
「ん?なんで?」
「いや、慣れてるなぁって」
「あー、それは……。妹がいたからね」
過去形になっているのは、今はこの世にいないと言うことか…。踏み込んではいけない話題だったかな…。僕も踏み込まれたくないところはあるし。申し訳ない事をしたなぁ。
「……ごめん」
「…気にしないでいいよ。変に気遣われる方がしんどい」
「…あー、そっか。わかった」
触れられたくないけれど、それ故に腫れ物のように扱われるのもかなりしんどい…。僕も経験があるから分かる。
記憶が無くなって困ったこともあるけれど、それだけで不幸だと言われるのは嫌だったし…。何より変に気遣ってくれて、話題を振られないと仲間外れにされたみたいで心が痛かった…
「はい、出来た」
「ありがと、好くん」
「いいえ〜。編み込みにしてみた」
「…えっ……編み込み??…僕の髪で?」
「うん」
「器用すぎない??」
「ふふっ、ありがと?」
短い僕の髪を編み込みするなんて…。どれだけ器用なんだろ。折角だし写真を撮った。一人で写っても面白くないし、それじゃただの自撮りだし…。好くんと一緒に写真を撮った。
「うん。綺麗に撮れたっ!」
「メイメイ、それ後で共有してね」
「はーい」
「そろそろ行こっか」
「うん。お邪魔しました」
二人で駄弁りながら、のんびりと歩く。久しぶりに人と一緒に登校するから、不思議な感じと、一人の時には無い楽しさがあった。
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