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第27話
明吏side
イライラする。人に当たるな。冷静になれ…。頭の中では、理解する。感情はついてこない。思わずため息が溢れる…。甘い紅茶を飲みながら、レポートの添削に目を通す。
「それ頭に入ってる?」
「入ってない。……いつから居たの?」
「ずっと居た。と言うか、君が俺の隣に座ってきたんだけど?」
「……あー、それはごめん」
「…好先輩のことでしょ?」
言い当てられてドキッとする。そんなに分かりやすかったのだろうか。そんな気持ちが顔に出たのか、笑われた。
「何考えてるのか、分かり易いね〜。好きな人の事。…そう、好きな人の事を考えてる人は、みんな周りが見えなくなる。君も例外じゃないよ〜?…とても、分かり易い」
「………そう。…………それは、つまり……?僕が、好くんを……好きだと言いたいの?」
「そう、その通り、御名答〜。彼に一目惚れ?それとも初恋?どちらにしろ今の状況を打開するには……」
僕のことをよく見て話すのは、心理学的に見ているせいか…。ただ、僕の自意識過剰か…。
まぁ、どちらでもいい。早く解決させないと、このまま夏休みに入ってしまっては、話す機会がなくなりそうだ。二学期からの授業の時間が同じ時間で取るとも限らないし…。
「……話し合うか、自覚するかしか無いと?」
「そこまで分かってるなら後は…?」
「行動するのみ…。はぁ…、行ってくる」
話を聞いて貰えたおかげで思考回路は少し落ちついた。少しは冷静に話せそうな気がする。
好くんとどうなりたいか、まだ分からない…。ただ、もし僕が本当に、翠くんに言われた通り…。好くんのことが好きならば、"付き合いたい" と、"愛されたい" と、そう思う。
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