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第28話

明吏side 好くんを探して歩き回る。授業が一つ被っている以外には、接点が無いに等しい。広い校内を探すのは難しいだろう…。 探すのを手伝ってくれるような人も居ないし…。翠くんに手伝ってもらうには理由が無い 「…もしも〜し?どうしたのー?」 「………好くん、話したい。…何処にいるの?」 初めて電話したかも…。歩き回って探したが、結局、探せなくて電話を掛けた。思ったよりもすぐに出る。心の準備が出来る前に繋がってしまったから、変な話し方になってしまった…。 「ん?いいけど…?次、授業なんだよね」 「…好くんの家に行ってもいい?」 「わ、かった…。19:00に家に来る?」 「うん」 動揺した声が聞こえる…。僕には心の余裕がなかった。気付くことすら出来ず、残りの授業をぼんやりと、聞き流すように受けて…。家に帰った後、ご飯を作り父さんに書き置きだけ残す 僕は、好くんのことを "何も知らない" と、思う 探す時だって、探す場所の候補は一個も出てこないし…。知っていることと言えば、名前と、住んでる場所くらいだ。好きなものも、嫌いなものも、何一つ答えられない。 好くんの家の扉の前に立ち、チャイムを鳴らせば中から元気に迎えてくれる。好くんの部屋に有る、柔らかいクッションに座った。 「いらっしゃいっ。今日はどうしたの?いつもと違うみたい」 「仲直り…。する…」 「仲直り⁇ えーっと、僕たち喧嘩してたっけ?」 「だって、好くん可笑しい。僕が君のことを "友達" と言った日からずっと!…ずっと……。僕の前では、笑うんだもん…。とても辛そうに…、笑うんだもん。…偽ってるのバレてるんだって!なんで…僕、何かしたの?僕が悪いの?」 「…落ち着いて?ゆっくり話そう。甘いホットミルク入れてくるね」 そう言って僕を置いて部屋を出る。翠くんと話していた時には整理出来ていた頭の中がまた、グチャグチャになった。喋ってる言葉だって、理解出来ないくらいに飛び飛びになっている。 こんな事は初めてで、どうしていいのか分からない。上手く話せる気がしなかった… 「…ごめんね。…僕の態度のせいで、メイメイがそんなに思い詰めてるなんて思わなかった。ただ、ちょっとだけ時間が欲しかったんだ」 「…時間?」 「そう…、時間……。この気持ちの整理をつけるための時間だよ。やっと、分かったんだ」 「分かった…?」 「僕、明吏が好きみたい。一目惚れの初恋」 「………えっ…とぉ?」 「…恋愛対象として、僕のこと見て欲しい」 「時間、掛かるかも知れない……」 「いいよ。メイメイの返事待ってるから」 その日から、僕たちの間にあった、透明な壁のようなものが無くなった。その代わりに、増えたスキンシップ。僕の心は戸惑い、しばらくの間、環境の変化についていけなかった…。

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