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第32話

明吏side 二ヶ月。あの日から二ヶ月、特に進展もなく、平穏な日々が過ぎていった。その間に皆んなでガトーショコラも作った。 テストも好調だった。成績も思ったより高く、父さんも褒めてくれた。夏休みの間に、海に行ったり、バーベキューをしたり…。なんて事も無く終わってしまった。 「………海、行きたかった」 「あー、うん。そうね」 「…なんで台風直撃するんだろ。お陰で、僕が頑張って誘った海!!行けなかったぁー!!」 「…メイメイ?…ここが何処か、分かってる?図書館だから、静かにね?」 そっと口を閉ざすが、遅かった。いつも通り、追い出されたので、仕方なく場所を移動することにした。 「いつも通りだね。俺たち不良になってない?大丈夫かな…」 「髪色もあるしどうだろうね。まぁ、僕はもう諦めだけど」 そんな話をしていたら、好くんの友達だろうか。女の人が、急に好くんの腕に絡まるように抱きつく。それを見て、イラッとした…… …そう、イラッとした。何故かは分からない。ただ、その行動にイラッとして、胸がざわめく 「…あの人誰?」 「知らない」 「……明吏、大丈夫?」 「何が?…大丈夫だけど」 「…そっ…、か……」 ムカつく。ムカつく、ムカつくっ!! なんで、僕じゃ無くてその人なの。僕が、中々返事しないから?だって、ゆっくりでいいって言ったの好くんじゃん! やだ、見たく無い。好くんが、僕以外と……。僕、ちゃんと好くんのこと "好き" なのか… 「好くん。その人、誰ですか」 「……えっ?…えっーと、同じゼミの…、君、名前なんだっけ?まあ、いいや、メイメイ何か怒ってる?」 「いえ。いつまで、そうしているつもりなのかと…、思っただけです」 「あー、これね。気持ち悪いよね。何度言ってもやめてくれないんだ。本当に迷惑♪」 「…だそうですよ。先約は僕たちです。先輩、何処か行ってもらえません?」 綺麗に笑顔で言えば、真っ青な顔をして泣きながら去っていった。何と無く心が晴れやかになったのは、きっと世間的に見たら冷たいと言われるんだろうなぁ…。 「…好き。好くん、僕。…好くんのこと好き」 「えーっと……それは、返事でいいの?」 コクッと頷けばとても嬉しそうに笑って抱きしめられる。側でずっと見ていた翠くんは、とても迷惑そうな、それでいて嬉しそうな…。何とも言えない表情をしていた。 「おめでと?で、いいのかな〜?…それより、移動しよっか、俺たち目立ってるし…」 「そうだね」

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