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第33話
明吏side
好くんと付き合い始めてから、僕は意外と嫉妬深い事を知った。男の人なら "まだ" 少しは我慢出来るが、女の人と楽しそうに話していると、感情が荒んで仕方ない。
男の人も可愛い人やかっこいい人だと、好くんを取られるのではと言う不安で、側から離れられない時もあった。
「そんなに不安がらなくても…。僕は、メイメイしか見てないよ?」
「……分かってる。…分かってるけど!」
「不安にさせてる僕がいけないね。ちゃんと、お父さんに挨拶に行こうか?」
「…いや。……あー、うん。…そうして」
「りょーかいっ。じゃ、日曜に挨拶に行きながらデートでもいい?お父さん忙しいかな?」
「その日は空いてる。父さんに伝えておくね」
付き合い始めてから時々思う。好くんはいつも僕に一線を引いている。
今も気遣っているよな言葉をかけながらどこか無関心そうで、不安になる。じっと見つめて、そっと笑うその口元。
不安を隠しきれない僕を見て、喜んでいるような気がして、心が痛い。苦しめようとしている訳ではなさそうだが、気遣うフリをしては時々、僕を傷つけてくる。
「メイメイ、デートどこに行きたい?」
「………静かで、落ち着いた場所がいい」
「なら、美術館に行って、そのあと公園でも散歩する?…この前、美味しいカフェ見つけたんだ。一緒に行こうよ」
「…うん。…楽しみにしてるね」
ずっと見せない好くんの本心に触れてみたい。沢山愛されて、もっと安心したい…。
重いと思われて捨てられるのが、死ぬほど怖いでも、嫉妬心を隠しきれない。
「…ごめんなさい」
上手く呼吸が出来ない。本当にデートが楽しみだったのに、今はとても泣きそう。感情の起伏についていけない。醜い自分が嫌になる。
「ん?何が?」
「僕が面倒なせいで…。好くんが友達と話せないし、ヒュッ……ゲホッゲホッ。…父さんに、挨拶することをお願いしたり…僕のせいで…。ヒュぅ…、僕がちゃんと "普通" だったら…。だから、ごめんなさい…ごめんなさい、ごめんなさい……はっ、ヒュッ、ヒュぅ……」
「明吏、落ち着いて?そのままじゃ過呼吸になる。…ほら、息吐いて」
「…ヒュー、ヒュー。……く、るし…。ヒュッ……ヒュー…」
息が吐けない…?息が出来ない…。苦しい…。苦しい……。好くんの言った通り、僕はそのまま、過呼吸になって意識が遠のいていって…。呼吸が一瞬止まりそうになる。と、同時に息がしやすくなる……。息が出来る…。もう何も考えたく無い…。倒れそうになる僕を抱きとめた好くんに全てを任せて目を閉じた…。
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