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第34話
好side
急に力を抜いてもたれかかってくる明吏を受け止める。力を完全に抜いた人の体重はそこそこ重い…。自分も巻き込まれて倒れそうになるのをなんとか耐えて、近くの椅子に座る。
僕のせいだと分かっていながら、やめられなかった。"自分より不幸な人を見て安心したい"
そんな思いがずっと心の奥底にある。
一番不幸だとは言えないが、"普通" から見れば僕は不幸だと言えると思う。でも、それを認めたくない。認めたら、本当に不幸になる気がするから……
「…ごめん」
だから、自分より苦しむ人、不幸な人を見て、知って "自分は不幸では無い" と安心したいのだ
そのために、時々…、明吏を傷つける様に突き放す。そして慰めて…。慰める人が僕しかいないと錯覚させて、依存させたくなってしまう。
明吏もきっと気づいている……。
やめたいのに、どうしてもやめられない。
そんな、苦しみを知って欲しいとは思わない。
「僕の苦しみなんて知らなくていい。そう思ってた筈なのに…。なんでだろね」
「……」
「明吏には、知って欲しいと思ってしまった」
呼吸は正常に戻りつつあるが、過呼吸になった後だから…。意識はぼんやりしているのだろ…明吏からはなんの返事も返っては来なかった。
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