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第36話
明吏side
その夜は、なかなか眠れなかった。どうやって家に帰ったのかさえ、曖昧だった…。
好くんとのしたキスがずっと頭から離れなくて
もう一度を望んでいる自分に少し戸惑っていた
性欲…、自分にもあったんだ……
そんな思いがずっと頭の中をグルグルと回って気がつけば深夜3時過ぎ。流石に明日のために寝た方がいいだろう。
しばらく飲むのをやめていた睡眠導入剤を取り出して水で流し込む。新学期の始まる時期や、長期休みの後は飲まないと眠れない…。
「おや、眠れませんでした?」
「父さん…。父さんは仕事?」
「いえ、少し目が覚めてしまいまして…。ホットミルクでも飲もうかと…。いりますか?」
「薬効かなくなるから…」
「そうですね。少し話し相手になりましょうか?効き始めるのに少しかかりますよね?」
ホットミルクを飲んでいるのを眺めながら、
僕と父さんって親子仲がいいよなぁと、まるで他人事のようにも思った。
まぁ、あんな事もあったし…。その前から仲は良かったと思うけど…。ゆっくりと、明日の予定を話して、父さんの予定も聞いてみた。
明日は休みだから、一日本を読むみたい。暇があると本ばかり読んでる
「最近面白かった本は?」
「そうですね…。この前読んでいたミステリーの新作は面白かったですね。犯人にはいい意味で裏切られました」
「…ふ〜ん。読んでみたい」
「持ってきましょうか?」
「あー、う〜ん。…明日でいいよ」
「では明日。…そろそろ効き始めました?部屋まで送りますね」
部屋近いし断ろうと思いながら立ち上がると、眠気でフラついた足元。転けそうだから大人しく部屋まで送って貰う。ベットに横になると
『おやすみなさい』の声を理解するかしないかくらいの間に、寝てしまったのだった……
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