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第37話

明吏side 朝起きて、ご飯食べて、テレビを見ながらお皿を洗っていたらチャイムが鳴った。手が離せなくて父さんがドアホンを確認してからドアを開けに行った。 父さんと一緒に、好くんが部屋に入ってきて、僕は忘れていたことを思い出した…… 「あっ…、父さん。今日好くんが挨拶に……」 「挨拶とは何の話です?好くんも先程同じことを言ってましたが…」 「…メイメイ?」 「ごめん、言うの忘れてた…」 二人から突き刺さる視線にビクッと小さく震える。責められているわけではないけど、少し、怖かったのだからしょうがない。 とりあえず、お皿を早急に洗い終わらせる。そういえば寝癖まだ治せてなかったなぁ… 好くんには見られてしまったし、今更直してもと言う感じはあるけど…。恋人には少しでも、いい姿を見て欲しいと思う。 それに、父さんにもちゃんとした姿で二人揃って挨拶したいし。寝癖だけすぐに直して、服も正して二人で父さんの前に正座した。 「…改めて、今日は挨拶をしにきました。私は今、明吏さんと真剣な交際をしてます。将来的に養子婚や、パートナー制度も考えてます」 「…」 「孫の顔を見れなくなってしまいますが、息子さんを僕に頂けないでしょうか!」 「……えっ、と…、何と、言いましょうか…… 条件を一つだけいいですか?」 「…はい」 「二人で、その命尽きるまで幸せに過ごして下さい。それが出来ないので有れば、結婚は認められないです。いいですか?…孫の方は、残念といえば残念ですが。薄々はこのような未来を予想していましたので」 そう言って、とても優しく笑う父の顔に思わず涙が溢れてしまった…。そんな僕を抱きしめてくれる腕は震えていて、指先は冷たかった。 好くんも緊張してたんだなぁ…。血の気が引いてしまっていた。 「今からデートですか?そんなに泣くと目が腫れますよ。明吏、笑いなさい…」 「…うんっ!」 そのあと、泣き止んだ僕は好くんと共に家を出る。玄関先で父さんが "気をつけてくださいね" と優しい笑顔で送り出してくれた。美術館デート、楽しみだなぁ…

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