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第38話
明吏side
手を繋いで外を歩けば人目を引く…。いつもは気になるその視線が、今日は気にならない。
僕の高鳴る鼓動が繋いだ手から好くんに伝わってしまわないかとそれが心配で…。ドキドキして…
上手く喋れていない自覚はあった。ギクシャクとした感じはないが、どこか言葉が詰まってしまいいつものような会話ではなかった…。
「…今日、口数が少ないね」
「……そうかなー。そんな事ないと思うけど」
「緊張してる?」
「それはあるかも」
それからは内容の無い話をグダグダと話しながら歩いていた。それだけなのに何処か楽しく不思議な気分だった。恋人になったからだろうか…
美術館について、チケットを買い中に入る。少し独特な香りがして、慣れない。静かすぎる空間。話していいのか悩んでそっと手を引く。
「…ん?あー、普通に喋っていいよ?」
「でも…」
「静かすぎるからね。騒がなければ平気」
「…それもそっか」
絵を見ても、絵心が無いからよく分からない。
好くんは「こういうのは感覚だよ」って笑うけどいまいちピンとこない。
絵画の下に書いてある説明を読んでも「へぇー」と思うだけ…。これ僕と一緒に回って楽しいの?もっと一緒に語れるような人を連れてくるべきでは…⁇ そう思いながら、ぼーっと見ていた。
「………暇?…飽きたなら次行こうか」
「…好くんは好きなんでしょ。ゆっくり見ていいよ?」
「そ?ならゆっくり見るけど…」
「うん」
「…ふふっ、冗談。次行こ」
好くんは早くも無く、遅くも無く。程々に見て、次へと言った感じで、回って行った。どうやら、好くんには、好きな絵とそうでもないものがあるようで、好きなものはゆっくりと、そうでないものはささっと通り過ぎていた。
手を繋いで歩いていたから、好くんのペースで、僕も見て回っていた。ふと、気になる絵があって立ち止まっていると手を引かれる。
「…あ、ごめん。行く?」
「ふぅ〜ん。…こう言うのが好きなの?」
「多分、そう。……なんか、綺麗だよね?」
「うん。綺麗だよね。印象派か…」
「好くんも描けるの?」
「いや、無理」
そっと手を引かれ、ついて行く。思ったよりも
早く周り切ってしまったようで、もうすぐ出口だ
初めてだったけど、楽しかったと思う。
楽しみ方が合っているのか分からないからなんとも言えないけれど…。
「楽しかった?」
「うん。楽しかったよ」
「そ?それは良かった」
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