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第12話 俺、乗り込みます

俺は泣き終えると伊藤さんと共に講義室に戻り、 「休んでた理由は後々話すよ。色々あってさ。」 そうみんなに話した。結城は何やら察したような顔をしていたが勇治と俊介は頭に"?"マークを浮かべているようだった。 …………………… 午前中に講義が終わったので俺はコートを返す為にばあちゃんに電話で橋倉さんの会社の場所を聞き、そこへ向かうことにした。 ………… 教えてもらった場所をに着き俺はそのビルの前で固まっていた。 「ひぇ、、」 (え…え?高くね?でかくね?) 300m近く建物を前に俺は唖然としていた。 恐る恐る自動ドアをくぐり抜け受付へとむかった。 周りはスーツや綺麗な服を着た人ばかりで大学から直接同じ服装で来た俺は言うまでもなく浮いていた。 「あ…あの、すみません。橋倉哉斗さんにお会いしたいのですが……。」 俺は受付の女性に声をかけた。 「失礼ですが、お約束をされていらっしゃる方でしょうか?」 (約束!?あ、偉い人って事前に約束してないと会えないんだっけ…?) 「あ…いえ、そういう訳では……。」 「申し訳ありませんが、副社長はお忙しい為お約束をされていない方はお会いできません。」 「あ…えっと橋倉さんの知り合いというか、あの、、、」 (やばいなんて言えばいいんだろ……) うまく説明できず俺は固まってしまった。すると忘れがたいあの甘い香りがした。 「千隼!」 右側にあったエレベーターから望んでいた人の声がした。 「え?…っ!橋倉さん!」 俺は振り返り彼の名前を呼び、駆け寄った。受付の女性は驚いたらしく目を見開いていた。 「どうしたんだ?こんなところに」 と橋倉さんが聞いてきたので、 「あ、いやその…この前借りたコート返しに行かなきゃって思ってて来ました…。」 と、俺は答えカバンからコートを取り出し渡した。 「あぁ、そうか。わざわざありがとう。」 といって橋倉さんは俺の頭を撫でた。 (ふぇ?!え?俺頭なでられてる?!) 「……え!?あっ!はい!」 俺が挙動不審に答えると、橋倉さんは驚いた顔をして笑っていた。そんな彼からはやっぱり甘い香りがして俺はそれにドキドキしていた。 (ドキドキって……っ女子か俺はっ) きっと顔は真っ赤に違いない。 (恥ずかしすぎる……) 「そうだ。千隼この後少し時間あるか?話したいことがあるんだけど。」 「え、はい。大丈夫です。時間、あります。」 俺はかなりカタコトな言葉で返した。 (…話?何だろ、、)

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