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第15話 side哉斗3

(だいぶフェロモンおさまったな...病院運ぶか…。) 俺は着ていたコートを千隼の肩にかけて運んだ。 (これ…お姫様抱っこじゃねーか……) 随分と柄にもないことをしたと思う。 (こいつっ……すやすや寝やがって…。こっちがどれだけ我慢してっか分かってんのか……) ……………… 俺は止めておいてあった車へ戻った。 「おい、開けてくれ。」 俺が車内にいた秘書(寺岡)に声をかけると寺岡はぎょっとした顔をして 「今までなにをしていたんですか!」 と、俺に聞いた。 「いや、ちょっとな。とりあえず病院まで出してくれ。あ、オメガ診療科のあるところな。」 「は?え、なんですかその子は。」 「ん?あ、こいつ?俺の運命の番。」 俺はニヤリと笑った 。案の定、寺岡にはドン引かれた。 病院につき、手続きを済ませると千隼は医療室に運ばれた。 (あ、コート……。まぁいっか。) 俺は病院を出るとドア前で待ち伏せをしていた、寺岡に怒鳴られた。 「あんたは…何やってるんですかっ!」 「チッ、、それが上司への態度か〜?!」 「あんたのこと上司だなんて思ってませんから。」 (こいつ……。) 「会議があるんだから早くしてください。てか、上着はどうしたんですか?」 「あー。どっかいった。」 俺は上を向いてそう言った。 「あんたって人は……。」 …………………… あの後から2日たった。俺は現在エレベーターにいる訳だが…… (アイツの匂いがする。千隼の……ここにきてんのか?) エレベーターの扉が開き、受付の方に目を向けると 「あ…あの、すみません。橋倉哉斗さんにお会いしたいのですが……。」 そこでは千隼が受付の女に声をかけていた。 「失礼ですが、お約束をされていらっしゃる方でしょうか?」 「あ…いえ、そういう訳では……。」 「申し訳ありませんが、次期社長はお忙しい為お約束をされていない方はお会いできません。」 「あ…えっと橋倉さんの知り合いというか、あの、、、」 (ふっ…焦ってんな…。可愛いなぁ……) 「千隼!」 俺は千隼に声をかけた。すると千隼は 「え?」 と、驚いた顔をして 「橋倉さん!」 と俺の名前を呼んで駆け寄って来た。 受付の女は驚いたらしく目を見開いていた。 「どうしたんだ?こんなところに」 と俺は千隼に聞いた。 「あ、いやその…この前借りたコート返しに行かなきゃって思ってて来ました…。」 と、千隼さ答えカバンからコートを取り出し俺に渡した。 (コート……?あぁ。この前のか。) 「あぁ、そうか。わざわざありがとう。」 と言って俺は千隼の頭を撫でた。 (やべぇ……無意識に……) 「……え!?あっ!はい!」 千隼は挙動不審に答えた。 (やっぱ可愛いーなぁ……) 千隼は顔を真っ赤にして下を向いていた。 (可愛い……か。まさかこんな思考に俺がなる日が来るなんてなぁ……) 「そうだ。千隼この後少し時間あるか?話したいことがあるんだけど。」 俺は千隼に聞いた。 「え、はい。大丈夫です。時間あります。」 千隼はカタコトな言葉で返事を返した。

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