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彼の秘書

「でもなんでまた和真の好き嫌いを知りたいの?」 「えっと……その……」 しばらくもじもじしながら俯くと、 「あ、分かった!」 和真さんのお姉さんがパチンと両手を叩いた。 「一緒に暮らして和真の面倒をみてくれる。四季くんどう?当たりでしょう。それなら絶対に部屋が散らからないし、片寄った食生活をしなくても済む。まさに一石二鳥。私も弟の心配をしなくて済むわ」 「いえ、その………」 和真さんのお姉さんをがっかりさせたら悪いかなと思いながらも嘘をつく訳にもいかないから、小さい声でごめんなさい。違うんですって謝った。 「あらそうなの。残念だわ」 「今度の土曜日、和真さんに海に連れていってもらえることになって………」 「へぇー、デートに誘われたんだ」 和真さんのお姉さんの目がきらきらと輝いていた。 「そんなに見詰めたら話せるものも話せなくなるだろう」 クスクスと笑いながら和真さんのお姉さんのご主人が料理を運んできてくれた。 「美味しそう」思わず歓声を上げた。 「チーズハンバーグとサラダとライス。食後にデザートもある。若いんだ。腹一杯食べろ」 「ありがとうございます。実は僕、人混みがダメなんです。人に酔って気持ちが悪くなるんです。土曜日、予報では天気もいいし休日だからすごい人だと思うんです。だから、和真さんに迷惑を掛けたくないなぁと思って、たいしたものは作れないんですがお弁当を持っていきたいなぁ~と思って」 緊張し過ぎて何を言ってるか分からなくなった。恥ずかしくて顔も上げられなかった。

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