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彼の婚約者
ご主人の櫂さんから、和真さんのお姉さんの名前が結さんだと教えてもらい、結さんって呼んだら、結お姉さんの方がいいと言われて、結局結お姉さんで落ち着いた。
いっそのこと土曜日が来なければいいのに………と思っても2日なんて過ぎるのはあっという間で。
『もう会わない方がいいじゃないの?』
きよちゃんには最後の最後まで反対された。
でも、彼を信じたい、会いたいという気持ちが勝ってしまった。
自宅があるアパートは目の前に小学校があるため道幅が狭く一方通行になっていて、初めて来る人は必ず迷子になるから、幹線道路沿いにあるコンビニエンスストアで待ち合わせをした。
遠慮せずもらって。
結お姉さんがお弁当箱ふたつと、首から下げられるようにって大きめのトートバックをプレゼントしてくれた。
和真のことヨロシクね!
寄り道せず真っ直ぐ家に帰るつもりが昨夜もカフェに寄ってしまった。
朝5時に起きて作ったお弁当を落とさないようにトートバックに入れて首から下げて慎重に車椅子を押した。
水道工事のせいか道路は継ぎ接ぎだらけで、でこぼこしていた。歩道も狭く道路の端っこを移動するしかないから、車が来る度立ち止まるしかなくて、いつもの倍の時間が掛かってしまった。
「和真さんごめんなさい」
休みの日だからかシャツにジーンズというラフな格好だった。
僕も同じような格好だけど、細いせいで貧弱に見えてしまう僕と違い、彼は、捲った袖から出ている逞しい腕といい、ジーンズの似合う足の長さといい、ラフなのに普段以上に目を引いた。
しかもリラックスしているせいか、いつものストイックな雰囲気とはまた違った大人の男性の色香のようなものが………魅力が感じられて。
ぼんやりと眺めながら「格好いいなあ」と心のなかで何度も繰り返した。
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