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神様がもし許してくれるなら彼の側にいたい

「だから和真に結婚式を市民庭園で挙げようって、プロポーズされたんでしょう?あれ、違った?私の聞き間違い?」 なんでそんなことまで知ってるの? 口を開くも言葉が出てこない。 「実はね私たちも去年市民庭園で結婚式を挙げたのよ。彼が私に内緒で応募してて、秋桜が見頃だからって市民庭園に連れていかれたのよ。着いてからいきなり結婚式を挙げるって彼に言われて。もぅ、びっくりよ。四季くん大丈夫?」 しばし茫然自失となり固まってしまった。 「ちょっと姉さん。何でそのことを知ってるんだよ」 彼もカウンターから身を乗り出した。 「副島の妨害から可愛い孫と未来のお嫁さんを何がなんでも儂らが守るんだって」 その言葉に「だからか………」ぼそっと呟くと、ガックリと肩を落とした。 「婚約は一方的に解消するわ、30過ぎても浮いた話しが全くないんだもの。このままだったら一生独身。曾孫の顔も見れないかも知れない。そりゃあ、お爺ちゃんとお婆ちゃんだって心配するのも無理ないと思うよ」 結お姉さんに耳の痛いことを矢継ぎ早に言われ、グーの音も出ないのか、しかめっ面を浮かべていた。 「あの、結お姉さん………」 本当は両性だってこと、ちゃんと話さないと。 緊張を少しでも紛らわそうと膝の上でふわふわと手を動かした。 「副島がお爺ちゃん達のところに興信所の報告書のコピーを勝手に送りつけたのよ。何がなんでも四季くんを和真から引き離すためにね。でも、それを見たからこそ、二人も私も櫂くんも、和真と四季くんを温かく見守ってあげよう。応援してあげようって思ったんだよ。こうなったら意地でも四季くんと和真をくっつけて、副島をぎゃふんといわせてやらなきゃ腹の虫がおさまらないでしょう………もう、やだ。見ないでくれる?嬉し涙だから」 そう言って鼻を目頭をハンカチでそっと押さえた。

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