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どうしよう、こんなにも誰かを好きになるなんて
目の前の信号機が赤に変わり、横断歩道の手前で車が静かに停車した。
「ごめんな四季」
カフェを出てからずっとむすっとしてて、無言でハンドルを握っていた彼がやっと口を開いてくれた。
「お姉さんと仲が良くて羨ましいです」
「そうか?ただのお節介やきだよ」
食後のデザートを運んできた結お姉さんに、
『和真、真っ直ぐ四季くんを家に送り届けるのよ。いきなりホテルに連れ込んだりしちゃ駄目よ。いい、分かった?』
そう言われ飲んでいたコーヒーを噴き出しそうになり、ごほごほと噎せていた。
『ちょっと、姉さん‼』
『だって和真が四季くんを泣かせないが、心配なんだもの』
『姉さんは過保護すぎるんだ』
『そうかしら……』
しれっとして答える結お姉さんに、和真さんは返す言葉が見付からないのかかなり困惑していた。
「俺は生半可な気持ちで告白したりしない」
信号機が青に変わってもなかなか発車しなくて。
ちらっと彼の横顔を見ると微かに微笑んだ気配があった。その直後、後ろから大きなクラクションを鳴らされ、彼が慌てて車がスタートさせた。
「かず、ま……さん、あ、あの……」
右手に彼の左手が静かに重なってきて、思わず身体を強張らせると、
「俺が怖い?」
囁くような声が耳元に落ちてきた。
僕はぎゅっと目を瞑ったまま頭を振った。
「こ、怖くないです。でも……」
そのとき脳裏に、2年前の光景がフラッシュバックした。
こんな僕を好きって言ってくれた大好きな彼の手なのに……なんでなんで?
わなわなと震えながら「ごめんなさい」を何度も何度も繰り返した。
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