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どうしようこんなにも誰かを好きになるなんて
そうしているとコンビニエンスストアの駐車場に着いていたみたいだった。
「四季、着いたよ」
彼の声に、はっとして顔を上げた。
謝りながらいつの間にか俯いてしまっていたみたいだった。
僕は和真さんを見ずに「ありがとうございました」と会釈だけしてドアに手を置いた。
早く下りたかったけど、トランクから車椅子を下ろしてもらわなければ下りることも出来なくて。
どうしようかと考えていたら、
「一人で全部抱え込もうとするな」
不意に彼の声が聞こえてきた。
振り返って彼を見ると、身を乗り出すようにして、じっとこちらを見詰めていた。
その瞳は、薄暗い車内でもはっきりと分かる光を湛えていた。男らしく、意思の強さを感じる光だ。二人きりの狭い空間のなか、圧倒され、動けずにいると、
「一人では無理でも、二人ならどんな高い壁も乗り越えられる。そうだろう四季」
腕をぐいと掴まれそのまま抱き締められた。
あまりの突然のことに頭の中が一瞬真っ白になった。
「……!」
「まだ怖いか?」
あやすように大きな手で頭を撫でてくれた。
「俺はいつでも四季の味方だ」
「かず、ま……さん………」
広く優しい胸のなかで、安心できる心地いい温もりと、大好きな彼の匂いに包まれる安堵感からか、今度は怖いとは思わなかった。
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