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忍び寄る殺意

「四季、どうしたの?顔が真っ青だよ」 心配したきよちゃんが僕の代わりに電話に出てくれた。 「どうしたの二人とも?大丈夫?」 「日曜日と今朝、四季くんの家の前に鳥の死骸が複数放置されていたって。あと、何か書いてある張り紙も・・・・・悪質な悪戯だろうって」 「悪戯で済めばいいけど」 長谷川さんが心配そうに顔を曇らせた。 スマホを取り出すも、彼に迷惑を掛けちゃいけない、甘えちゃいけないと途中で思いとどまり、ポケットの奥にしまった。 でも…… 「長澤、渡すか渡さないか迷ったんだが……」 夕方武田課長に呼び出され、生産技術課を訪ねるとA4のコピー紙を渡された。 「今朝、図面をコピーしていたら、これがファックスで流れてきたんだ。ちょうど事務室にいたのが俺で良かった」 そこには、紙いっぱいに、 【長澤四季は人殺しだ!】 【丸和電機は人殺しを匿うのか?】 【地獄に落してやる!】 そう箇条書きで書かれてあった。 それを見たとたん、喉を締め付けられるような恐怖が襲ってきた。 「たく、暇な奴もいるもんだ」 この会社で僕に前歴があることを知ってるのは社長と、湯沢常務と、武田課長と、上石課長の4人だけ。きよちゃんとたもくんも勿論知ってる。 「ご迷惑お掛けしてすみません」 「長澤は何も悪いことをしていないんだ。むしろ、被害者だ」 武田課長が僕の目の前でその紙をシュレッダーに掛けてくれた。 「朝宮さんは、若いわりにはしっかりしている。真面目で律儀で、信用出来る人だ。いま、ここには俺と四季しかいない。みんな現場に出払っている。電話をするなら今だろう」 武田課長が自分のディスクの椅子を退けてくれた。 壁に耳あり障子に目ありだ。誰が聞き耳を立てているかも分からないからと、僕を隠すようにすっと前に立ってくれた。 「ありがとうございます」 頭をペコリと下げて、ポケットからスマホを急いで取り出し彼に電話を掛けた。

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