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忍び寄る殺意

「思い出すのも辛いのに、ちゃんと和真に話してくれたでしょう。だから、私も四季くんに話そうと思う」 結お姉さんの決意は固かった。 「デートレイプドラックって言葉知ってる?」 「いいえ、初めて聞きました」 「そうよね」 結お姉さんがスマホを操作し検索結果を見せてくれた。 【睡眠薬を飲料に混入させて、服用した相手の意識や抵抗力を奪って性的暴行に及ぶ。加害者は被害者の顔見知りが八割を占めている。証拠が残らないので立件が難しい】 そんな事が書かれてあった。 「誰も実の兄を疑うなんてしないでしょう。私もそうだった。お爺ちゃんとお婆ちゃんはちょうど旅行中で不在だったの。冷蔵庫に入れておいた飲みかけのペットボトルに睡眠薬を混入させられて、兄と遊び仲間だった不良たちに自宅で……」 そこで言葉を一旦止めると結お姉さんが静かに目を閉じた。悔しそうに唇を噛み締めると頬を一筋の涙が伝った。 「でも電話が通じないことに違和感を感じた和真が学校からすぐに駆け付けてくれて……櫂くんは当時兄に弱みを握られ下僕にされていた。その日も見張りをさせられていたんだけど、兄に反旗を翻しぼこぼこに殴られながらも私や和真を命がけで守ってくれた。10年経つのにね、いまだフラッシュバックするのよ」 「結お姉さんもういいです。もう十分です」 悔しくて悔しくて。涙が零れた。 「私には櫂くんや和真、お爺ちゃん、お婆ちゃんがいてくれたから、なんとか立ち直れた。でも、四季くんは回りに信用できる大人がいなくて、たった一人で辛い想いを抱えて苦しかったでしょう。歯を食い縛って必死に耐えながら弱音も吐かず頑張って生きて来たんでしょう。でもね、もう頑張らなくていいよ。世の中悪い大人ばかりかも知れないけど、そうじゃないから。私も和真も櫂くんも、お爺ちゃんもお婆ちゃんも四季くんの味方だからね。何があっても全力で守るから。だから遠慮せずどんどん甘えてちょうだい。もう、やぁね、泣いてばかりでみっともないよね」 苦笑いを浮かべながら手で涙をそっと拭いた。 「和真の相手が四季くんで良かった。私、こんなでしょう。だから、四季くんが仲良くしてくれるか正直不安だったのよ」

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