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忍び寄る殺意

心配を掛けまいと笑顔で言葉を返した。 「そうやって無理ばかりするから、ますます心配でほっとけなくなる」 「和真さん、ごめんなさい」 リュックサックを両手で抱き締め俯くと、温かくて大きい手が髪をそぉーと撫でてくれた。ビクッとして顔を上げると、横目でにっこりと微笑み掛けられた。 「人伝に聞いた話しですけど、誰かがネットにあげたみたいで、障がい者に対する差別だ。虐待だって、抗議の電話が殺到して、この町で弁護士を続けることが出来なくなって、逃げるように違う町に引っ越したみたいです」 「はじめから四季がやったと決めつけ、ろくに話しも聞かず自白を強要し、指紋採取の時、足が不自由だから車椅子に乗っているのに、立つことを強要し、侮辱的な言葉を浴びせたとして、弁護士が暴行罪と名誉棄損で取り調べを担当した巡査長ら二人を訴えたんだろ?報道陣からの怒号が飛び交うなかで警察署の署長らがただひたすら頭を下げている 様子をネットで探して見たけど、腸が煮えくり返るくらい怒りが込み上げてきた」 「僕のせいで大勢のひとの人生を狂わせてしまったんです。彼らの家族の人生も。だから、恨まれても当然なんです」 「四季」 普段穏やかな和真さんが声を荒げた。 「それは違うよ」 右にウィンカーを出し右折するとコンビニエンスストアの駐車場に静かに滑り込んだ。

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