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忍び寄る殺意
「ちょっと!私の可愛い妹に近付かないで!」
結お姉さんがしっしっと手を振った。
僕が我慢すればいいだけだから。結お姉さんもういいよ。首を横に振った。
「用件は何ですか?」
僕に近付こうとした刑事を彼と櫂さんが引き留めてくれた。
「この男に見覚えはないか、確認を取りたかっただけだ。まさか、2年前の事件の被疑者が被害者だとは、皮肉なものだな」
片方の刑事がくくっと鼻で笑った。
「お前をいまだに恨んでいる連中は多い。命を狙われるのも当然といえば当然か」
もう片方の刑事もせせら笑いを浮かべた。
「あなたたちはそれでもーー」
「和真くん、挑発に乗っちゃダメだ。それこそ相手の思うつぼだ」
怒りを露にする彼を櫂さんが必死で止めた。
緊迫する病室内。
ちょうどその時思わぬ助け舟が入ってくれた。
「関係者以外面会謝絶ですよ。部外者は退出してください」
白衣を着た男性のお医者さんだった。
「えっと」
「私、部外者じゃありませんよ。四季の姉です!」
「その夫です」
結お姉さんと櫂さんが右手を挙げた。
「あ、そうですか。初めまして担当医の中川です」
軽く挨拶すると今度は刑事たちを迷惑そうにチラッと見た。
「すぐ終わる」
刑事が彼に写真か何かを乱暴に手渡すと、バタンと足で扉を開け渋い顔で病室を出ていった。
「この病院にはヤクザがいるのかって入院患者や、その家族から苦情が殺到している。困ったものだな」
やれやれとため息をつきながら中川先生も病室をあとにした。
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