９時に消灯になり、なかなか寝付かれずにごそごそとしていたら枕元の明かりがぱっと付いた。 ｢あんなことがあったばかりだ。寝れるわけないよ｣ 大きな手が髪を優しく撫でてくれた。 ｢四季にまだ言ってなかったよな。弁護士のこと｣ ｢うん｣頷くと、 ｢廊下で会ったときに、どっかで会ったような気がしたんだ。話しをしていて驚いた。まさかの同級生だった。名前は斉藤。刑事事件を得意としている。その斉藤に、ネット犯罪に詳しい吉村という弁護士を紹介してもらった。闇サイトを誰が運営しているか調べてもらうことにした｣ ｢ごめんなさい、和真さん｣ ｢どうしてきみが謝るんだ？｣ ｢僕に関わったせいで、和真さんを危ない目に、遇わせてしまった｣ ゆっくりなら何とか喋れそうだから、途切れ途切れだけど言葉を必死に紡いだ。 ｢何があってもきみを守るって約束しただろう？四季、恥ずかしがらずにもうちょっとこっちにおいで。ベットから落ちるぞ｣ クスリと笑いながら腰を抱き寄せられ、そのまま腕枕をしてくれた。 ｢明日検査して何事もなければ退院出来る。犯人がまだ捕まっていないんだ。しばらく会社を休んだ方がいいんじゃないかな？｣ ｢みんなに、迷惑、掛ける｣ ｢あぁ。長谷川さんのこともあるからな。俺も火曜日まで有給をもらった。副島には公私混同だって怒られたけど、俺はそう思わない｣ 彼の腕に力が籠められたのが分かった。