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忍び寄る殺意

眠くなるまで彼と二人きりいろんな話しをした。 目が覚めると温かな広い胸にしがみついていた。 心地好くて。安心できる場所だ。 出来ることならずっとこのまましがみついていたい。 穏やかな寝息を立てて眠っている彼を起こさない様にそっと顔を上げると、 「あ」間近で視線が絡んだ。 暗がりでも分かる優しい、いつもの彼の顔。でもいつもとは少し違う。大人の色香を漂わせる艶めかしい熱を孕んでいた。それを一度意識してしまうと、恥ずかしさがなお一層増した。 しかもぴったりとくっついているせいか、じわっと身体が熱くなってきた。 「あ、あの、違うんです」 熱を持て余し再び俯くと、小さな笑い声とともに強くぎゅっと抱き締められた。 そのときバタバタと乱暴な足音が聞こえてきた。 「朝っぱらから随分と賑やかなだな。寒くないか?」 「うん」 彼が布団を掛け直してくれた。 でもその足音がドアの前で止まり、何やら話し声が聞こえてくると、 「なんでそってしておいてくれないのかな」 彼がぶつぶつと不満を口にしながらスマホを持ち上げると片手で何やら操作し、もう片方の手で毛布を頭から被せてくれた。 「寝たふりしているんだよ」 その直後ドアが乱暴に開いてドタバタと誰かが入ってきた。

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