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忍び寄る殺意
「斉藤、ありがとう。助かったよ。それにしても来るのが早くて驚いた」
「病院の駐車場で待機していろって頼まれたんだよ」
「誰にだ?」
彼の声色が変わった。
辺りを伺いながらおっかなびっくり、そぉーと顔だけを出した。
「きみが噂の朝宮の彼氏?」
「彼氏じゃない。婚約者だ」
「そうだった。ごめん」
背の高い男性と目が合った。
「はじめまして。斉藤です」
「はじめまして。長澤四季です」
笑顔で会釈され、慌てて頭を下げた。
「斉藤、さっきの話しだが」
「なんだっけ?」
「はぐらかすなよ」
彼がむすっとして睨むと、
「ごめん、口止めされているんだ。言えない」
「は?」
「冗談だよ。朝宮ならその人が誰なのかすぐに分かると思ったんだ」
しばらく考え込んだのち、
「いや、まさか。そんなのあり得ない」
信じられないとばかりに首を横に振った。
「朝宮が選んだ人をあっさり認めるのは彼のプライドが許さないんだろうよ。本当は、誰よりもお前に幸せになって欲しいと願っている」
「嘘だ。だったらなんで四季にあんな態度をとったんだ?」
「敵を欺くためにはまずは身内からってよくいうだろう?黒幕は四季のすぐ近くにいるんじゃないか、彼はそうにらんだ」
「……」
言葉を失くし茫然自失となる彼。
僕もにわかには信じられなかった。
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