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いつかきっと笑ってくれますか

ぐぐ~~と派手に彼のお腹が鳴った。 「朝も昼も食べていないならお腹が空いた」 「四季くんもお腹が空いたでしょう。早めに夕御飯を食べましょうね」 「お婆ちゃん手伝います。キャベツをたくさんいただいたからすき焼きを作りたいなって…」 「あら奇遇ね。お婆ちゃんも同じことを考えていたのよ」 「そうなんですか」 涙を手の甲でごしごしと拭い、お婆ちゃんと一緒に夕御飯の準備に取りかかった。 「和真、今の仕事を辞めるみたいなのよ」 「え?」 驚き過ぎて危うく指を包丁で切りそうになった。 「あら、もしかして何も聞いていないの?」 「黒幕の最終的な目的は四季を孤立させ社会的に抹消することだ」 背後から彼の声がしてきたからびっくりした。 「父に反旗を翻すいい機会だ。所詮俺は父が溺愛してやまない母違いの弟が社長に就くまでの使い捨ての駒だ。副島とふたり、新しい事業をはじめるのも悪くない」 「あら~和真、見ないうちに随分と男らしくなったんじゃないの。頼りがいがなくてお婆ちゃん心配していたのよ」 「だからそれは…もう勘弁してくれ」 お婆ちゃんに痛いところをつかれグーの音も出なかったみたいだった。

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