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いつかきっと笑ってくれますか
「大丈夫?」
「……」
すぐに答えることが出来なくて。彼の顔を見上げると、
「やっぱり明日は会社を休んだ方がいい」
片手でお湯を掬い肩にかけてくれた。
「みんなに迷惑を掛けるのは百も承知です。でも僕はなにも悪いことはしていません。2年前は頼る人もいなくて一人だったから怖かったけど、今は違う。和真さんも結お姉さんも櫂さんも副島さんも、それに……か、和真さん」
ふいに背中に彼の腕が回ってきて。
気付いたときには逞しい胸元へと抱き寄せられていた。
首筋に熱い息がかかり、思わず身体を強ばらせると、
「まだ怖い?」
囁くような声が聞こえてきた。
僕は俯いたまま、ぎゅっと目を瞑ったまま頭を振った。
「怖くないです。恥ずかしいだけで……」
「昨日も一緒に入ったのに?」
「昨日は、昨日です。僕だけ、さっきからドキドキが止まらなくて」
耳の奥で響く心臓の音。
彼は落ち着いているのにと思うと、自分だけ慣れていないことを思い知らされるようで恥ずかしい。
実際慣れていないんだけど……
さっと手を取られ、彼の胸に押し当てられた。
「四季だけじゃないよ。俺だってほらこの通りドキドキしてる」
息を詰めると、掌に鼓動が伝わってくる。
僕のものほど大きくないけれど、少し速い……ような気もする。
「和真さん」
見つめ返すと、
「大好きな人と一緒に風呂に入っているんだ。ドキドキしない訳がない」
優しく微笑んだ。
「副島から口止めされていたから言わなかったけど」
彼から知らされた事実に愕然となった。
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