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いつかきっと笑ってくれますか

「たく、暇だな」 「葬式ごっこはたちの悪い悪戯でもなんでもない。れっきとした犯罪だ」 彼から聞かされたのは、ディスクの上に一輪の白い菊と僕の遺影が飾られていたこと。仕事で使っていたパソコンがごみ箱に捨てられてロッカーもめちゃくちゃに荒らされていたことだった。 それらを撮影した動画がネットに流され、あっという間に拡散されてしまった。 会社に監視カメラはない。だから誰が犯人かわからない。外から侵入した形跡もなかった。 でもこれで会社に自由に出入りできる人物が犯人だということがはっきりした。彼がそう断言した。 見えない犯人に恐怖しかなくて。彼の服にしがみついたままほとんど一睡も出来ないうちに朝を迎えてしまった。 「四季くん、さっきからずっと気になっていることを聞いてもいいかな?」 車椅子を押しながら吉村さんに唐突に聞かれて、首だけ捻り見上げたら、 「なんでタートルネックの服なのかなって。暑くないの?」 「あ、あの……そ、それは……」 言葉に詰まり、耳まで真っ赤になりながら俯いた。

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