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あなたにはプリメラのように生きてほしい
夕暮れの空がオレンジ色に染め上げられ、静かな野山に夕闇が迫るころ彼と副島さんが帰ってきた。
「犯罪者を匿うとは、朝宮家の恥晒しだ!」
「お前には関係ないだろう」
車から下りるなり激しく口論するふたり。
演技とは思えない迫力だ。
玄関のドアをバタンと閉めると、ふたりしてはぁ~~と深いため息をついていた。
「和真さん、副島さんお帰りなさい」
「ただいま。ごめんな遅くなって。寂しかっただろう?」
彼の問いかけに「みんながいてくれたから寂しくなかった」と答えようとしたら、副島さんにジロッと睨まれた。「寂しかったと言え。空気を読め」そう言われているような気がして。
「うん。和真さんがいなくて寂しかった」
にこっと微笑み言葉を返すと、嬉しそうに破顔し副島さんがすぐ側にいるにも関わらず肩をぎゅっと抱き締めてくれた。
「四季は知らないと思うが……実は俺も副島から教えてもらうまで知らなかったんだけど、バス事故で最愛の家族を失った遺族が立ち上げた【まここころの会】というのがあるんだ。舌を噛みそうになるくらい少し読みにくいんだが。そのまここころの会が違法な捜査がされていると公安委員会へ苦情を出した。その記者会見の模様がついさっき生配信されていたみたいだけど、ごめんな、見逃してしまった」
「ううん、大丈夫」
彼に車椅子を押してもらいみんなのところに戻った。
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