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あなたにはプリメラのように生きてほしい
「和真どうだった?」
「朝宮さん何て?」
そわそわしながらずっと彼の帰りを待っていた結お姉さん達が彼に駆け寄った。
「社長は和真にあと40才若かったら自分が四季を嫁にしていたと言って、思いっきり睨まれていた。若いわりには真面目で素直でしっかりしていて、和真にも、そして朝宮家にも勿体ないくらい素晴らしい嫁だと太鼓判を押していた」
「あの人が本当にそんなことを?信じられない」
結お姉さんが首を横に振った。
「社長は和真を構っている場合じゃない。まぁ、自業自得。自分の女癖の悪さが招いたことだ。いままで俺ら社員が尻拭いしてきたが、今回ばかりはどうしても許せなくて、みんなにそっぽを向かれた」
「たまにはお灸を据えないと。あの人のためにならない」
和真さんが膝をついて僕の前に座るとにっこりと優しく微笑んで手に何か丸いものを握らせてくれた。
「父の気持ちが変わらないうちに婚姻届を先に役所に出そう」
そぉーと手を広げるとプラチナの指輪がキラキラと輝いていた。
「和真さんこれって」
驚いて顔を上げた。
「お爺ちゃん、お婆ちゃん、姉さん、櫂さん。副島。ここにいるみんながいてくれたからこそ今の俺がいる。だからみんなの前できみを絶対に幸せにするって誓いたかったんだ。驚かせてごめんな。四季、俺と結婚してください」
伝わってくる愛情を全身で感じながら、嬉しくて泣きそうになりながら「はい」と答えて微笑み返した。
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