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あなたにはプリメラのように生きてほしい
「四季が証言するまで事故は運転手の過失が原因とされ、運転手の家族は世間からバッシングを受け言葉では言い尽くすないくらい酷い扱いを受けていた。両親はバスの運転手の無実を信じ家族を支え続けた。バスの運転手の無実が証明されたあとも遺族に寄り添い続けた。母が亡くなったあと、磐越道バス事故被害者遺族の会は、母の名前を取りまここころの会と名前を変えた。【まこ】と【こころ】の間に一呼吸おけば噛まない」
副島さんが何か異変に気付いたのか険しい目付きで外を睨み付けた。
「マスコミか?」
「しつこい連中だ。自分たちがしていることは悪いことじゃない。正義のためにやっている。でも実際はただの弱いものいじめだ」
吐き捨てると手をグーに握り締めドンと壁を叩いた。
「副島さん穴が開かない程度にお願いしますよ」
お婆ちゃんの声にはっとし我に返る副島さん。
「すみません」
「腹が立つのは私たちも同じ。でも今は耐えるしかないわ」
「下手に騒いで、あることないこと書かれて傷付くのは四季くんだからね」
お婆ちゃんとお爺ちゃんがまずは腹ごしらえだ。それからどうするか考えよう。彼と副島さんに声を掛けた。
「副島に聞いたら、バス運転手の奥さんがまこ こころの会の代表をしているらしい」
「どんな方なの?」
「副島も一回か二回しか会ったことがないからあまりよく覚えていないらしい。顔を見れば思い出すかも知れないって言ってた」
結お姉さんと櫂さんと副島さんを見送ったあと、彼にお風呂に入れてもらい、布団に並んで横になりいつ終るともなく話を続けていた。
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