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あなたはプリメラのように生きてほしい
「ごめん四季。泣かせるつもりはなかったんだ」
潤んだ瞳のまま彼を見つめると、涙で滲む視界の真ん中で、彼が優しく微笑んでいた。
変なところが真面目でそれでいて不器用な彼。
見惚れるくらい格好よくて、胸がキュンとなった。
住む世界も違う。年もうんと離れている。
今よりももっともっと辛いことが待っているかも知れない。
けれどそれでも彼と一緒にいたい。
不安でも怖くても彼と一緒にいたい。
嬉しさもドキドキも、誰かを愛する幸せも辛さも教えてくれたひとと。
彼の瞳を見つめれば、そこには自分だけが写っている。
どんなに怖くても前へ進まなきゃ。
なんの取り柄もない平凡な僕を好きになってくれたんだもの。
「和真さん・・・・・」
ずっと胸の中に秘めていた想いが堪えられずに溢れる。
「あなたのことが・・・・大好きです・・・・」
彼の背に腕を回し、込み上げる想いを伝えるように抱き締め返すと、
「俺もきみが大好きだ」
にっこりと微笑まれそのままそっと口付けられ一気に夢見心地に引き込まれた。
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