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番外編 あなたにはプリメラのように生きてほしい

「四季くんお茶にしましょうか?四季く~~ん」 「あ、はい」 ぼぉーとしていて名前を呼ばれていることにまったく気付かなかった。肩をかるく揺すられハッと我に返った。 「ごめんなさい」 畳んだ洗濯物を慌ててクロゼットにしまった。 朝、目が覚めたら彼の姿はどこにもなかった。 「疲れているから起こさないでほしい。ゆっくり寝させてあげてほしい」お婆ちゃんにそう頼み和真さんは車で片道40分もかけて仕事に向かった。 昨夜のことを思い出すだけで顔から火が出るくらい恥ずかしくて。お爺ちゃんとお婆ちゃんと顔を合わせることが出来なかった。 「あ……っぁ……っん……ああっーー」 「大丈夫だ。四季、ひどいことはしないから、力を抜くんだ」 「和真……さ……や……だめ……」 愛撫を受けるたびに腰の奥で今まで知らなかった熱がうねり、指先まで火照っていく。 自分のものとは声が立て続けに溢れ、一気に劣情が高まっていく。 「四季ーー」 掠れた声で名前を呼ばれ、ぎゅっと抱き締められた瞬間。 彼の手の中に温かなものを溢していた。 「あ……」 快感と恥ずかしさに身体が震える。 耳が熱い。 上手く息が出来ず、浅く喘ぎながらぎゅっとシーツを掴むと、彼が目尻にそっと口づけをしてくれた。 声が掠れるまで喘ぎ続けて。散々泣かされたんだもの。間違いなく声を聞かれたと思うと ため息しか出なくて。俯いたままハンドリムをこいでお婆ちゃんの後ろを付いていった。

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