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暗黒沈静

「ある人ってもしかして黒田さんのことじゃないかな」 何度リダイヤルを押しても長谷川さんに電話が繋がることはなかった。 「どうしてそう思うんだ?」 「僕に贈ったように長谷川さんにも花のポストカードを贈ったんじゃないかなって」 逆恨み花言葉で検索を掛けたらオレンジの百合の花言葉がヒットした。意味は「憎悪」。 「オレンジの百合?」 彼がハッと息を飲んだのが分かった。 「和真…さん…?」 首を傾げながら聞き返すと、 「きよちゃんが忘れ物だって届けてくれたのは黄色いマリーゴールドだった。予言・健康の花言葉の他に嫉妬・絶望・悲しみという怖い花言葉を持っている花だ。民間の科捜研に鑑定を依頼した。どんなに僅かでも黒幕に繋がる手掛かりが掴めるといいと思って」 「また迷惑掛けちゃった」 「迷惑だなんてこれっぽっちも思ってないよ。四季が一日でも早く元気になって、笑う顔が見れれば俺はそれでいい」 彼の手がそっと頬に触れてきた。 撫でられて、温もりと安心感とともに、ぞくぞくとした感覚が背筋を走る。 間近から見つめられ、息を詰めて見つめ返すと、 「ーー愛している」 誠実で優しい声が聞こえてきた。 「黒幕を必ず見つけ出す。そしてきみを絶対に幸せにする」 続けて言うと、唇に彼の唇がそっと触れてきた。 「やっぱり新婚さんって良いわね~~うちのなかがぱぁ~~と明るくなるわ」 お婆ちゃんのテンション高めの声が聞こえてきて。 「か、和真さん!」 すっかり忘れていたけど、ここリビング! 真っ赤になりながら俯くしかなかった。

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