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暗黒沈静
「わちゃわちゃしてすごく幸せそうじゃないか。今までお婆ちゃんと二人きりだったから、四季くんが来てくれたお陰で家の中が明るくなったんだよ」
首にタオルを巻いて軍手をはめたお爺ちゃんが戻ってきた。
「今日は焼き芋がいい感じに出来上がった。四季くん、食べるかい?」
「はい」
新聞紙にぐるぐる巻きにされた焼き芋をぽんと渡された。ちょっとまだ熱い。火傷をしないように慎重に新聞紙を広げると甘い匂いがぱぁ~と辺りに広がった。
「どうした四季?知っているひとがいた?」
いつもは見ないでスルーするお悔やみ情報に何故か目が止まった。
「ねぇ和真さん、長谷川さん死なないよね?精神的に追い詰められて自殺…なんかしないよね?」
片方の手を伸ばし袖をぎゅっと掴んだ。
「長谷川さんに嫌われているのは分かってる。でもこのまま……嫌われたままじゃ嫌だ。長谷川さんと会ってちゃんと話しがしたい」
「四季、きみって子は……」
和真さんが驚いたように目を見開いた。
「雄士さんに頼んで探しもらおう」
「僕も探す」
「だめだ。四季は動くな。ここにいろ。決して足手まといになるからじゃない。誰が黒幕か分からないんだ。頼むからここにいてくれ」
「でも和真さん」
見つめると、彼は僕を気遣うような表情を見せた。
「四季くん悪いことは言わない。今は和真の言うことを聞いて動かない方がいい。実はな」
「お爺ちゃん」
彼の顔色が変わった。
「遅かれ早かれいずれは分かることだ。ひとりの人間の命がすでに失われているんだ。これ以上の犠牲者を出してはならない」
お爺ちゃんが語気を強めた。
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