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温かな人たちに救われる心
日没まで町民の皆さんが総出で初瀬川さんを懸命に探してくれたけど、結局見付からなかった。
でも手掛かりはあった。
大川にかかる橋のたもとで、死んで詫びると書かれた初瀬川さんの遺書とローヒールの黒い靴が見付かった。でも彼の話しでは直筆ではないから初瀬川さん以外のひとが書いた可能性も充分あり得るって。
もうひとつは、両親が眠るお寺…修恩寺のポストに郵便物に混じり僕宛の封筒が投函されてあった。ご住職が見付けてくれて、わざわざ民宿まで届けてくれた。
「初瀬川さんはどこかで絶対に生きている」
「そうよ。希望を捨てちゃだめよ」
彼とお婆ちゃんに励まされた。
お爺ちゃんはお風呂で冷えた体を温め、大広間で捜索隊のみんなと夕食を囲んでいる。お酒が入っているせいかとても賑やかだ。
女将さんが人見知りの僕を気遣い、部屋に心尽くしの夕食を準備してくれた。
「どうした?食べないのか?」
箸を持ったままぼぉーとしていたら、彼が心配そうに声を掛けてくれた。
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