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温かな人たちに救われる心
【しらさぎの丘児童養護施設で複数の男性職員による女児への性的ないたずらが行われていると内部告発。
理事らは揃いも揃って地元の名士。園長は元警察関係者。
事件そのものが隠蔽され事実は揉み消された】
「鍵……」
紙を見つめながら呟いた。
「鍵?」
「男の子は一階、女の子は2階。鍵もなく自由に行き来が出来た。でも、ある日、高校生のお兄さんとお姉さんたちが園長先生を取り囲んで、女の子の部屋だけ中から鍵を掛けられるようにすることと、何かあったときの緊急ブザーを各部屋ごとに付けるよう要求したんだ。もし要求を飲まないときは、警察に行くって園長先生を脅したの。考えてみたらその日からなんだ。たもくんが同じベットで寝るようになったのは……決まって僕が壁側、たもくんが通路側。僕が眠るまでたもくんずっと起きてて話し相手になってくれたんだ」
「へぇ~、そうなんだ」
彼がむっつりした表情を浮かべ、不快な笑い声を上げた。
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