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温かな人たちに救われる心

「じゃあ、安藤みさき、真山みさき、丸山みさきの名前に心当たりは?」 「そんなにいっぺんに言われたら四季が混乱するだろう」 「いくら人見知りでも同じ施設で育った仲間の名前くらい覚えているものだろう」 口喧嘩をはじめたふたりを慌てて止めた。 「覚えていない僕が一番悪い。お願いだから喧嘩を止めて。入所してきても、すぐ親元に帰ったり里親に引き取られたり、違う施設に移る子もいる子もいるって聞いたことがあるから」 これじゃあ言い訳にしかならない。 「同一人物だよな?」 「里親が変わったり、親が再婚したり。人それぞれ、いろんな事情を抱えているからな」 「なるほどな」 「今は親元を離れ自活している。20才前後じゃないかって」 「あ、あの……」 ズボンの生地をあとが残るくらい、ぎゅっ、と強く握り締めた。 「どうした?」 副島さんは気付かなかったけど、彼はすぐに気付いてくれた。 「さっき安藤って言ったよな?」 「確かに言った。もしかして……」 副島さんがはっとし、ばつが悪そうに顔をしかめた。 「四季、大丈夫だ。俺が側にいるから怖くない」 彼が膝を立てて座り直すと、手を伸ばし頭を撫でてくれた。

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