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温かな人たちに救われる心
「スマホ鳴ってないか?」
「いや、気のせいだろう」
「気のせいじゃない。鳴ってる」
彼が手押しハンドルに掛けておいたリュックサックの中からスマホを取り出した。
「誰からだ?」
「妹を溺愛してやまない心配症の姉からだ。ほら、四季」
彼にスマホを渡された。
『四季くん、そこに副島いる?いるならスピーカーに切り替えてくれる?』
「あ、は、はい」
すぐにスピーカーのボタンを押した。
『ちょっと副島。あなたはいつもひと言余計なの。四季くんは私の可愛い妹なのよ。いじめたら許さないからね。泣かせたら許さないからね』
ー結、頼むからフォークを振り回さないでくれ。お腹の子にもし万一のことがあったら大変だからー
電話の向こう側から櫂さんの慌てふためいた声が漏れ聞こえていた。
「心配しなくても大丈夫だ。一応、俺も妹を溺愛してやまない兄の方だから。で、何だ?そんなことを言うためにわざわざ掛けて来たんじゃないだろう」
『さすがに察しがいいわね。雄士さんから、副島に何度電話を掛けても繋がらないって連絡があったのよ。伝言預かってるけど聞きたい?』
「内容による」
副島さんがちらっと彼に視線を送った。
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