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焼きもちを妬いてばかりの彼
「出会ってゼロ日婚。君からしたら常識はずれだ。四季のことは何も知らない。でも、一緒に暮らすようになって、毎日いろんな発見があって、四季を知れば知るほど、どんどん好きになっていく。ハンデキャップがあってもなくてもそんなの関係ない。俺は四季に心底惚れている。これからの人生すべて四季に捧げる覚悟だ。何があっても守る。絶対に幸せにしてみせる。これだけ言っても信用出来ないのなら、俺から四季を奪いたかったら正々堂々と奪いにこい。いつでも受けて立つーー和真は思いの丈を岩水にぶつけた。彼は思い知ったはずだ。和真の態度、言動すべてに、四季への愛情がこれでもかと詰め込んであるんだからな。勝ち目ははい」
ふわりとなにか温かなものが髪に触れた。
ごわごわした大きな手だ。彼以外のひとに触れられるのが嫌だと感じなかったのは、その手の温もりがきっとすごく懐かしかったから。
「……コオ……お兄ちゃん……」
忘れていた名前とともに一筋の涙が零れ落ちた。
「四季……」
副島さんが驚いたように目を見開いた。
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