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焼きもちを妬いてばかりの彼

「なんでコオなんだ?」 「藪から棒になんだ?」 「下の名前…えっと…」 「また度忘れか?いい加減に覚えてくれ。浩太郎だ」 「滅多に名前では呼ばないから仕方ないだろう」 にやりと笑う彼に、副島さんも怒るにも怒れずひとつため息を漏らした。 「こうたろうって小さい子どもには発音が難しんだと思う。コオの方が短いし呼びやすいだろう」 「なるほどな。俺もそれで思い出した。子供の頃、姉さんのことをゆいねぇねって呼べなくて、いっちゃんねぇねって呼んでいたんだ。本当は四季に、副島さんじゃなくて、コオ兄ちゃんって呼んでほしいんじゃないか?」 「な訳ないだろう。頭大丈夫か?」 「顔にそう書いてあるんだよ。素直にそうだって認めろよ」 「おい和真!」 副島さんの声は明らかに動揺していた。 身体を捻り後ろを見ようとしたら、 「見るな」 恥ずかしいのかぷいと顔を逸らし、寝返りを打ってしまった。 「あのな四季。初瀬川さんの両親はすでに他界している。兄は2年前から行方不明だ。弟がいることが分かって、斎藤と吉村がすぐに向かい事情を説明し金を返したいと伝えた。そしたら……」 彼がそこで言葉を止めると、困惑した表情を浮かべた。 なんだろう。嫌な予感がする。

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