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暗澹
「普通は焼きもちを妬くのに、なんで?そう思わなかった?」
「え?」
言われてみれば確かにその通りだ。
「俺の顔を見るなり、いつも顔を真っ赤にしてすぐに下を向くよね?岩水と会って話しをしていても、きみの表情は変わらなかった。それがはっきりと分かったから、すごく嬉しいんだ」
和真さんの声は弾んでいた。
彼が側にいるだけでドキドキが止まらなくて。見つめられたら、かぁ~~と一気に体温が上がる。
彼の言う通りだ。たもくんと一緒にいても、話しをしてても、彼みたくはならなかった。
お釣りをもらうとき指先が微かに触れたけど、ドキドキしなかったし、体温も上がらなかった。
「妻としての自覚が少しは出てきたかな?出てもらわないとそれはそれで困るんだけど……今日もいいことばかりだ。ありがとう四季」
よほど機嫌がいいみたいで、車椅子を押しながら、駐車場に着くまでずっと鼻唄を口ずさんでいた。
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