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暗澹
何度目かのキスののち、唇が掠める距離で彼が小さく微笑んだ。
「愛してるよ」
掠れた声で囁かれ、頭がぼぉっとしてくる。
心臓の音も、早く大きく耳の奥で響き続け、頬も火照りはじめた。
うっとりとして彼の抱擁に身を委ねると、耳殻に熱い唇が触れた。
「四季の全部が欲しいと言ったらどうする?」
秘めた情熱を露にした、熱っぽい視線で見つめられ。
そっと手を取られ、濡れた指先に口付けられた。
「まだ怖いと思う。心に受けた傷はそう簡単には癒えないものではないから。だから、無理強いはしない。でも、きみの何もかもが欲しくて堪らないのも本当だ」
「和真さん……」
なんだろう身体が熱くて、頭がくらくらする。
ふっと微笑んだ彼が再び口付けをしてくれた。
「ん……っ……」
さっきと違って長く深い口付けだ。
唇を舌先でなぞられ、くすぐったいような快感に小さく喘ぐと、歯列の隙間から温かなものが挿しはいってきた。
舌に舌を絡められ、柔らかく舌先を吸われ、甘噛みされ……
甘い感覚に背筋がゾクリと震えた。
でも、そのあとの記憶がぷっつりと途絶えてしまい何も覚えていない。
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