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真犯人は……

数日後。 「朝宮さん。朝宮さん」 何度か名前を呼ばれ、自分のことだと理解するまで少し時間が掛かった。 「あ、は、はい。すみません。まだ、そう呼ばれるの慣れなくて」 「新婚ホヤホヤだもの。しょうがないわよ」 お婆ちゃんの紹介もあり、8月のお盆まで臨時のアルバイトとして農協の隣に建つ直売所で働かせてもらうことになった。 婚姻届は昨日、彼と一緒に役所に提出してきた。長澤の名字から彼の名字である朝宮に変わっただけで、あとはなにも変わっていないはずなんだけど、朝宮と呼ばれるのにまだ慣れなくて。呼ばれると妙に恥ずかしくて。 ひとりで百面相をしている。 はたから見たら完全なる挙動不審者だ。 店長の矢野倉さんや、パートの人たちは、出来る仕事が限られている僕に笑顔で優しく接してくれる。 見た目は男性だけど戸籍上は女性。 黙っていれば誰も分からない。だから、言うか言わないか迷ったけど、こそこそと隠し事をしたくなかったから、正々堂々とそのことをみんなに伝えた。 一様に驚いて目をパチパチしていた。 こんだけ人がいるだもの。色んな人がいてもいいじゃない。朝宮さんは朝宮さんだもの。矢野倉さんのその一言に助けられた。 あれから嫌がらせ、中傷はピタリと止んだ。 あまりにも静か過ぎて気味が悪い。彼に、気を緩めず用心するように何度も言われた。

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