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真犯人は……
「そういえば丸和電機の武田さんに会ったよ」
「え?」
「黒田さんたちの見舞いに来た帰りだって話していた。ふたりとも明日退院になるみたいだよ」
「ふたりともって……きよちゃんは?」
「そこまでは話しはしていなかった。でも……」
そこで言葉を濁すと、浮かない表情を浮かべた。
「病院に泊まり込んで、つきっきりで献身的に看病しているのに、バかにされ罵られ、しまいには浮気を疑われて……好きだから、なにをいわれようが我慢も出来る。でも、それが限界値を越えたら?私がもし彼女の彼氏だったら、お互いの将来を考えて、別々の人生を歩いた方がいい。そう言って別れを切り出すと思う」
お腹を擦りながら結お姉さんがゆっくりと椅子に座った。
「看護師さん、もう何人も怪我させているんでしょう?焼きもちを妬くくらい彼氏のことが好きなら、なんでもっと大事にしてあげないのかな?彼氏はなんでも言うことをきく便利な道具じゃないのに。なんか、彼氏がかわいそう」
「それに関しては多少同情するが、彼は俺を害虫扱いした。それが許せない」
害虫……?
彼の言葉にはっとした。
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