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真犯人は……
「和真さん、それは違うの。誤解なの」
「俺に向かって発した言葉じゃないとしても、悪意を感じた」
また怒らせちゃったかな。
まともに顔を見ることが出来ずにいたら、
「あら~~新婚早々、さっそく夫婦喧嘩?いいわね~~仲がよくて羨ましいわ」
お婆ちゃんが夕御飯を運んできてくれた。
「副島さん……お父さんの方ね。仲間たちと公民館で蕎麦作りを教えているのよ。お裾分け頂いちゃったのよ。温かいお蕎麦だったら、結も四季くんも食べれるんじゃないかなって。湿っぽい話しと、四季くんの元カレの話しはこれで終わり。和真、少しは大人になりなさい。焼きもちばかり妬いて怒らないの。短気は損気よ。温かいうちに召し上がれ」
お婆ちゃんの笑顔はみんなを笑顔にする。
あれほどぴりぴりしていたのに。彼の表情がすっーと和らいだ。
「副島さんのお父さん、なかなか面白いでしょう」
「四季くんに会いたいって、倅にずっーーーっと言い続けていたんだが、黒幕が誰だか分かるまでは駄目だって言われて、ずっーーーっと我慢していたみたいだ。結婚おめでとうって祝う気満々でいたらしいが、緊張し過ぎて度忘れしたみたいだ」
「え?副島さんのお父さん、緊張していたんですか?そんな風には見えなかったけど」
「あんなに小さかった四季くんが美人さんになってて、腰を抜かすくらい驚いたみたいよ」
「美人でも何でもないのに」
首を振ると、
「四季は美しいよ。もっと自信を持て」
彼に髪の毛をくしゃくしゃとされた。
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